2010年10月31日日曜日

「烏山手すき和紙」の紹介

 今日は、下野・会津・津軽 手仕事専科にもある烏山和紙「烏山和紙会館」を訪ねました。
前社長の福田弘平ご夫妻には、那須ビューホテルに入社して以来お付き合いをさせていただいておりました。ホテル売店の烏山和紙商品のお取引や「下野手仕事会」の会長職の時には、赴任地の「あぶくま洞」にもバス1台でお越しいただきました。現在は、経営をご子息の福田長弘さんに譲られています。
 
 程村紙という歴史ある和紙すきですが、時代の流れという事もあり、求められる方も訪れる方も嘗て程ではないのですが、栃木県内の卒業証書は、現在も程村紙を使われていると伺いました。 
 和紙の新しい用途(機能)と新しいデザインに活路を求めたいと思います。福長会「押絵の会」があり、生徒作品の「紙布」がありましたが、縦糸に木綿を使い横糸に和紙を使ったものです。肌触りも良く軽量感があり、おもしろい作品でした。しかし、福田さんによると手間がかかりすぎて価格的に製造は、難しいとのことでした。嘗て「裂織り」にも軽量感を出すために和紙を横糸に織っていましたが、特殊な製品といえるでしょう。

 今日は、「烏山手すき和紙」工場は訪れませんでしたけれども、一度、製造過程を現場からご紹介したいと思います。パネルから製造工程といくつかの作品関係をご紹介します。
 「烏山手すき和紙」商品は、「下野・会津・津軽 手仕事専科/烏山手すき和紙」で販売しています。

●画像をクリックすると拡大します。
手仕事専科     http://tesigotosenka.com
(株)福田製紙所  http://tesigotosenka.com/karasuyamawasi.html


烏山和紙会館

玄関を入ると「山あげ祭」の写真があります。
烏山和紙をつかったカラクリ人形が、山車で曳かれます。

小砂焼の壺に花が投げられていました。
小砂焼(藤田製陶所)

茨城県大子町で採られた「楮」です。

和紙の灯かりの「かすみ」です。
外側の繊維は、「楮」です。
和紙の灯かり「ルナ」です。
「ルナ」に椿を描いています。
「絞り・板締め」の染色和紙

干支の「卯」
和紙で作られた兎にゴフンを塗っています。
那須の著名な作家「五十嵐豊(故人)」さんの
人形です。張り子の人形です。

押絵「兎」のセットです。
押絵の作品です。
●烏山和紙の沿革
 西暦  89年  中国後漢和帝の時代に葵倫が紙を発明した。
     610年  高麗の僧、曇徴が紙漉の技術を我が国に伝えた。
     680年  那須国に那珂川(粟?川)をのぼり渡来人(中国・朝鮮)入る
     780年   「奉写一切経料紙墨納帳」に紙の産地20か国の内に下野の
            名があり、宝亀元年の紙産出国16か国の中にも下野があり、
            これからも写経料紙の産地と推測される。

●和紙の製造工程(1~13)
1.コウゾの収穫
茨城県大子町にあるコウゾの畑。
山の斜面にコウゾの木が植えられています。
百軒以上のコウゾを栽培する農家があるそうです。

2.コウゾの皮むき(蒸す)
コウゾ畑の中に直径1mくらいの大きな釜
があります。
収穫したコウゾを70cmくらいに切りそろえ
てからやわらかくなるまで蒸します。

3.コウゾの皮むき(むく)
蒸したコウゾは、温かいうちに皮をむきます。
ツルっとした感じでおもしろいように簡単に
むけます。(もちろん、速くきれいにむくた
めには、こつがあります。)

4.黒皮をとる
皮から黒皮の部分を取りのぞきます。内側の
白い部分(白皮)を靱皮繊維といって、紙に使
う繊維のあるところです。昔ながらの道具を使
って取っているところです。

5.コウゾ和紙の原料(白皮)
出荷するために並べられた白皮。
ここから全国各地の製紙工業へ出荷されます。

6.白皮をアルカリで煮る
ここからが製紙工場の仕事です。
原料のコウゾの白皮をソーダ石灰(アルカリ)
を入れたお湯で約2時間煮込みます。
こうすると繊維がばらばらになりやすくなりま
す。

7.ゴミを取る。
やわらかくなったコウゾから黒い皮などの
細かいゴミを取ります。
よくとらないと出来上がった紙の中に黒い
部分などができてしまいます。
8.叩階(白皮をせんいにする)
ビーダーという機械を使って、せんいをばら
ばらにします。
昔は、木で叩いていたので、叩解(こうがい)
といわれます。とても大切な行程で、紙質に
おおきく関係します。

9.紙を漉く
和紙の場合、流し漉き(水に浮かべた繊維を
すくう、ゆする、流すことをくりかえして繊維が
均一になるようする方法)で漉きます。このと
き、ネリというどろどろの液体を混ぜて繊維が
水の中で均一にういていることが重要なポイ
ントです。

10.ネリとは?
トロロアオイ(黄蜀葵)という中国にあった
植物、根の部分をたたいてつぶすと、どろどろ
の液体が出てきます。これを混ぜることによっ
てパルプを水に浮かせます。
11.漉き上がったばかりの和紙
流し好きで漉いた場合、そのまま重ねても
、あとで1枚1枚きれいにはがれます。
溜め漉きのときは紙の間に布をはさみます。
12.水切り
漉き終わった和紙は、重ねたまま、板の間に
はさんでプレスして水を切ります。徐々にプ
レスを強めながら、1日がかりで水分をぬき
ます。
13.乾燥
参画柱の側面に紙を1枚ずつはって、水蒸気で
あたためて乾燥させます。ゆっくり1回転させ
る間に乾いてしまいます。
これで和紙の完成です。
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