2021年1月15日金曜日

逸品の山ぶどう手籠.宮本工芸Vol001

手仕事専科には、(有)宮本工芸があります。
2011年の秋にNHKBS美の壺で網代編手提巻手(2分幅)が、紹介されました。一晩でひとつ十数万円の手篭が、いくつも御注文となりました。はじめ、メールを見て目を疑いましたが、宮本工芸に問い合わせて、理由が分かりました。美の壺で30分にわたり、工房と葛西あきらさんの山ぶどう皮網代編手提巻手(2分幅)をご紹介したことによります。桐島かれんさんが、長年20年近く使っている照りのあるバッグも紹介されたと言います。
当初は、出来上がりは数か月~半年だったものが、その後2、3回の再放送を経て一気に6年待ちとなりました。幻の網代網手提巻手(2部幅)の誕生です。
6年も待つなんてどう思いますか。
その良さを知らない方には、分からないでしょうね。
現在は、2014年の御注文者の方々にお届けしています。それでも、あまりに長い出来上がりにそれまで待てないと途中でキャンセルされる方や出来上がりのご連絡をしても、連絡が取れない方々も増えました。
手仕事専科で御注文を頂戴した方の注文残も残すところ10件ほどになりました。宮本工芸の店長に尋ねますと、これからの御注文は、1年ほどで出来上がると言います。過去のNHKBS美の壺の再放送はあるか伺いますと先頃に撮影取材に来られて2/2(火)NHKBSプレミアムイッピンで放送されると言います。
一晩でいくつもの御注文となるような嘗てのような反響はあるのでしょうか。
9年前の放送では、山ぶどう皮手篭の風合い、侘び寂に通じる「用の美」を感じられる方々が大勢居られたものと思います。それが、10年近くが過ぎ、その後の若い方々に共感を生み出すでしょうか。
三上徳仁氏のつくる
網代編手提巻手(2分幅)
             
網代網手提巻手(2部幅)は、当時放送でご紹介されたのが葛西あきらさんでしたので、彼を御指名の御注文が多かったのですが、ご高齢から徐々に対応できなくなりました。残念ながら、ご指名のお客様には数年前から諦めて頂きました。現在の作り手の三上徳仁氏は、当時も葛西あきらさんに劣らない素晴らしい編手(職人)でしたが、そのような中で作り続けて来ました。山ぶどう皮の幅と厚みを刃の付いた道具を使い扱(しご)き編蔓を準備します。形状も美しくそれでいて編みの強度も素晴らしいものです。
あけび蔓を一本一本扱き
節を取り除き太さと長さを揃えます。
山ぶどう皮を扱き幅を揃えています。
当時、都内の各デパートでは、地方の物産展を催事しており、蔓細工として、宮本工芸も参加していました。そのデパートでは、山形県の蔓細工をご紹介していましたが、沢山の山ぶどう皮手篭やあけび蔓手篭が並んでいました。年配の実演者(職人の方)が笑顔で丁寧に対応してくれましたが、山ぶどう皮の幅と厚みを揃えていないので、編みが雑になります。宮本工芸の物と比較すると大きな違いがありました。
作り方の違いです。
それが、それぞれの産地で伝統となり、より優れたものとして、伝承されるのでしょう。
青森県の山ぶどう皮手篭は、遥か縄文時代に遡ります。有名な三内丸山縄文遺跡では、漆器と網代編手篭が見つかっています。1万年前に遡る縄文人がこの青森湾の入り江に生活し、同じ編み篭を作り生活の中で使用していたなんて信じられますか。
三上徳仁氏
網代編手提巻手は、型があり、
その形状を整えます。


6年待ちとなった頃に宮本工芸さんに訊ねましたが、6年待ちで良いと言います。職人も材料も増やしません。ビジネス理論では、職人を増やし、材料を広範に集め対応すると1年待ち程度で出来るかもしれません。そして、営業的には売上も増大し、成功かも知れません。
しかし、職人も増やさず、材料も中国などの海外や他県に求めることはしませんでした。
今も作り手は、当時のままの方々ですし岩木山や八甲田山で採れる山ぶどう皮、あけび蔓に拘り使用しています。
手仕事品は、大量生産の物ではありません。
そして、究極の良い物を創意工夫して作ることです。
宮本工芸のブランドです。
ブランドは、本来そのようなものです。
嘗て、昭和初期に西欧で開催された万博で、会津の本郷焼がグランプリに輝いたことがありました。有名な鰊鉢です。(1958年(昭和33年)、宗像窯六代豊意(故人)の代には、ベルギーのブリュッセル万国博覧会で鰊鉢がグランプリ受賞)その後は、会津焼でない焼物も挙って海外に「会津焼」と名を打ち輸出しました。粗製濫造、そして、瞬く間に売れなくなりました。 
乾燥された山ぶどう皮が、
棚に積んであります。

あけび蔓です。
会津の焼き物の受難期となりました。
宮本工芸の職人さんたちは、拘りを持つ方々です。あけび蔓も山ぶどう皮も扱いて幅と厚みを揃えて、編上げます。よくお客様のご要望で形や作り方を伺うのですが、それが理に適わないときは、作りません。
「お客様は神様です。」の風潮があり、それに答えるのがサービスと言った時代がありましたが、彼等には通じません。
「そんな出鱈目な物は作らない!」と受け付けません。
「嫌なら他に頼め!」
今回の網代編手提巻手(2分幅)ですが、最近お届けできた方々は、通の方々ですが、届いたときの溜息が聞こえるようでした。
今でも幻の網代編手提巻手(2分幅)は、健在です。
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